masalabayashi's diary

好きな言葉は「名盤」です

今年よく聴いたアルバムズ 2025

2025年によく聴いたアルバムです。

 

⑩Naima Bock「Below a Massive Dark Land」

サウスロンドンを拠点に活動するNaima Bock。

Goat Girlというバンドを離れ、ソロでリリースされた2作目。

1作目は考古学の学位をとりつつ制作していたらしい。

1曲の中で音数が顕著に増えたり減ったりして面白い。

また、アルバム通じてサウンドの抜けが良く、間をたっぷり取るようなフォーク味が心地よい。

昼夜問わず楽しむことができた。

 

⑨Burt Bacharach「What the World Needs Now: Burt Bacharach Classics」

バカラック御大のベストアルバム。

学生時代にバカラックを知り、メロディーの美しさに魅了された。

アメリカ音楽の豊かさを見せつけるようなバックコーラスやホーンセクション。

そこに泣きのコーラスや転調の遊び心が加わると、もはや誰も辿り着けない山頂にいるように思えてくる。

その遥かな頂を、私は麓から見上げつつ、What the World Needs Nowを練習しようと思う。

 

⑧Mac Miller「Swimming」

Mac millerの5thアルバム。

タイトルのSwimming については1曲目の「Come back to Earth」で示されており、

溺れかけていた過去を越え、自らの力で“泳ぐ”意思を歌っている。

その彼が本作のリリース直後、オーバードーズで亡くなったことは余りにも哀しい。

私はヒップホップには明るくないが Mac Millerの曲には親しみやすさを覚える。

2曲目のwe’ve only just begunの引用など、ポップス寄りのリスナーにも訴求する狙いを感じる。

初めて聴いたCirclesに続き今作も大好きな一枚となった。
どちらのアルバムも、孤独を音楽で癒そうとする男の姿が浮かぶのは気のせいだろうか。

 

⑦Joni Mitchell 「For the Roses」

今年はジョニ・ミッチェルを1カ月に1枚ずつしっかり聴くよう試みた。
1月の「Joni Mitchell (Song to a Seagull)」に始まり、7月の「The Hissing of Summer Lawns」で残念ながら途切れてしまったが、またどこかで再開したい。
本作は5枚目であり、5月のバラの季節に聴き始めた。

前作「Blue」の路線を継続しつつ、やや明るい曲が多いような印象を受ける。
ジョニ・ミッチェルの魅力の一つは、上下するメロディーを巧みに歌い上げるボーカルだが、このアルバムでも存分に堪能することができた。

 

⑥Tyler, the Creator 「DON'T TAP THE GLASS」

今年発売されたタイラーの8枚目のアルバム。
マイアミ・ベースを取り入れるなど、前作の「CHROMAKOPIA」から一転して享楽的な印象を受ける。1曲目と2曲目の繋ぎがかっこいい。
Tylerの作品は毎回ジャケの顔が気になるが、今作も何とも言えないハズしの表情をしている。

井上園子がラジオでフェイバリットに挙げていて、なんだか嬉しくなった。
再生時間が通勤時間とほぼ同じなので帰り道によく聴いた一枚。

 

⑤D'Angelo 「Brown Sugar」

今年、51歳で急逝したディアンジェロ。
個人的な思い入れはほぼ無く、むしろ避けてきた感すらある。
私が初めてブラックミュージックに惹かれたのは、その明るさとノリの良さであり、ディアンジェロにはいずれも感じなかった。
亡くなったのを機にネオソウルを真面目に履修しようと考え本作を聴き続けた。
しかし、やはり良くわからん。

メロディーが特別に秀でているようにも思えず、何より暗く地味である。

そのうえB-Boy的な不良感が漂っており、苦手は克服出来なかった。

その後、ラジオの特集を聴き漁り、リズムとグルーヴに耳をすませることで少し良さが分かった…ような気がする。
ちなみに、同じく苦手だったceroの「Obscure Ride」が、ネオソウルを通った後だと驚くほど素直に入ってきた。そういうことだったのね。

 

④Joni Mitchell 「Blue」

Joni Mitchellの4作目のアルバム。

今年は桜が咲くのが早く、桜が散った4月に聞き始めた1枚。

アルバムに色を冠したのは意図的なのか、A面はいずれも曲の中に色の描写が出てくるため画が喚起される。

"Blue"が曲中で歌われているのは#1, 2, 3, 5, 9の5曲。

Joniの中では孤独こそが最大の憂鬱であることが歌詞からは分かる。

特に、燃えるような恋愛の後にやってくる孤独。

彼女はそれを避けられないものと知りつつ、たとえどれだけ傷ついたとしても、

決して倒れず立ち続ける意思を#9で歌っているように思う。

 

③Nala Sinephro 「Endlessness」

去年の10枚にも入った1枚。

今年も1人で仕事をしている時によく聴いた。

いつまでも終わらない仕事とアルバムがリンクし、なんだか可笑しかった。

 

②星野源 「Gen」

星野源の6枚目となる新譜は、まるで一時期のRadioheadの聴き方のように、「痛チル」として聴いていた。
悲しく痛い、それでも希望が灯っているような空気感。
コロナ禍の苦境を和らげるための楽曲を政治利用され、監督の不祥事のために紅白で自曲を歌うことさえ許されなかった星野源。
きっと他にも数多の理不尽を背負わされてきただろう。
それでも、星野源は誰かの希望を歌っているように聴こえた。たとえ希望など無いことを悟りつつも。
ラストの「Sayonara」では、複雑に上下するメロディーを歌い上げるボーカルが見事。
アルバムを出すたびにボーカルが上手くなっているような気がする。

 

①Sly & the Family Stone 「Fresh」

今年、82歳でこの世を去ったSly stoneことSylvester stewart。

洋楽といえばロックとポップスしか知らなかったかつての私にブラック・ミュージックの面白さを教えてくれた。

スライの6枚目のアルバムは、前作の「There's a Riot Goin' On」のドラムマシン路線を引き継ぎつつ、ジャケのようにやや明るく軽やかになった印象。

ただし、ファンクの濃密な要素を抽出したようなサウンドは中毒性があり、何度も繰り返し聴きたくなった。

本作よりバックコーラスとしてバンドに加わったリトル・シスターのトリオの歌声も素晴らしい。

かつて、坂本慎太郎がファンクを好きな理由として「絶頂に達しそうで達さずじらされる」ようなことを言っていた。

スライの初期作からはその要素は感じ取れなかったが、今作からは明確に感じとることができた。

 

スライと言えば人種・男女混合のバンド編成で知られる。

在り方から融和を掲げ、「Everyday People」では力強く融和が歌われたが、

排外主義が蔓延る現代日本にはそのメッセージは届いていないようだ。

 

今年は本当に全てがめちゃくちゃだった。

もし近い将来に再び日本が戦争することになり、「この戦争はいつから始まったのか」と問われれば、答えは2025年だと思う。

アメリカではトランプ大統領が再選し、ロシアと中国に歩み寄り、世界の構図は激変した。

国内では括弧付きの「外国人問題」に関するデマが選挙で叫ばれ、大衆の憎悪が扇動された。

高市新首相は、経済的に重要であるものの付き合いづらい厄介な隣国に対し、関係を構築できないどころか不用意にイキリ散らした。

それにより自らが批判されるにつけ、あまつさえ軍拡のための増税や核兵器保有を掲げるさまは、卑しい悪夢に見える。

 

トランプ大統領と高市首相を見ること・考えることは、精神衛生上、非常によろしくない。

早く心安らかに音楽を聴ける日々が訪れることを願って止まない。

 

今年よく聴いたアルバムズ 2024

今年よく聴いたアルバムです。

Apple musicのReplay機能より。

 

 

 

①Nujabes 「Modal Soul」

名前はもちろん知っているが、きちんと聴いたことがなかったnujabes。

夏の終わりに入った店で一曲目を聞き、そのクールな温度感に浮かされた。

これほど特定のアーティストを貪るように聴いたのは大学生のとき以来だろう。

本名のsebajunを逆から読ませるローファイ的作法が愛おしい。

1曲目「Feather (feat. Cise Star &Akin)」のイントロを聴くだけで、その先の快楽が感じられて涎が滲み出てしまう。さながらnujabesの犬に躾けられてしまった。

疲れた日の帰り道によく聴いた。2曲目の「ordinary joe」が流れる頃には、フードを被った頭でリズムを刻む衝動を抑え難くなっている。

1〜4曲目では決して停止することができないが、他の人も同じだろうか。

 

②Various Artisrs「FIRST COLLECTION 」

nujabesとその界隈をさらに知りたくて何度も手を伸ばした1枚。

フレデリック・ワイズマンの「大学」を見た後に、shing02がカリフォルニア大学バークレー校の出身と知り、なぜだかすごく親近感を覚えた。

「大学」は、まるで自分も同校の一部になっているような錯覚を覚える。

Funky DLやApaniを知ることができ嬉しい。

 

 

③宇多田ヒカル「Science fiction」

初期の曲から新曲までを収録した、デビュー25周年を包括するベストアルバム。

個人的に好きなPlay A Love Songが入っていないのが残念だが、過去作のremixなど聴きどころは多かった。

いつか、One Last KissやBADモードもリミックスして欲しい。

 


ライブツアーは大変良かった。

ノリの良いベースの人が印象に残る。Gorillazのライブベーシストをやっているらしい。

ただ、バンドメンバーにサックスがおらず、BADモードがサックス抜きだったのは残念。

それでも宇多田ヒカルからの「25年生きててくれてありがとう」の言葉が、意外なほどに胸に残り、お守りのようになっている。

それにしても、チケットとグッズ、映像化により、一体どれほどの収益を上げたのだろうか。

 


④折坂悠太「平成」

 近所までライブツアーで来てくれたこともあり、今年は折坂悠太ばかり聴いていた。

ライブツアーでは常に脱力してゆらゆらと揺れながら歌っていた。

ジャケットは顔が傾げているように見える。本人も周りから何度も言われたらしいが、自身はそうは見えないと言っていた。

 


⑤折坂悠太「呪文」

再び折坂悠太。

遠く離れた、けれど確かに繋がっている地では、今なお理不尽な暴力が続いている。

それに言及するミュージシャンは多くはなく、軽く失意を覚える中で、折坂悠太がラジオ・楽曲を通じて明確なメッセージを出し続けてくれることが嬉しい。

配信で見たFuji rockでは、NO NAMEがパレスチナ支持を表明していた。

 


被団協の田中さんの言葉が胸に迫る。

「自分達がやるべきことはやった。後は貴方達の番です。」

ライブツアーはバンド編成で、「凪」と「無言」が一際映えていた。

 


⑥Kim Oki「Love Japan Edition」

韓国の若手ジャズサックス奏者兼、映像クリエイター。長編映画も作っているらしい。

元はダンサーであり、沖縄が好きで沖縄から名前の「OKI」をとっているなど、情報量が多い。

信じられない音を出すことに驚いたが、どうやらエフェクトをかけているとのこと。

来日に合わせリリースされた本作は、Kim Oki自身が選曲した日本独自の企画盤。

「Shine Like A Sunlight」を聴くたびに、何故かしら感情を刺激されてしまう。

来日ツアーは行けなかったが、見て聴いてみたいアーティスト。

 


⑦Sweet William「Sonoras」

sonorasとは、スペイン語で「音」や「サウンドトラック」の意味らしい。

私はsweet williamの熱心なリスナーではないが、2017年の「Jasmine」が心地よく、今年発売の今作もよく聴いた。

Hip-hopに明るくない耳にはnujabesのフォロワーのように思える。

楽曲の雰囲気はピアノに委ねられる印象だが、自ら演奏しているらしい。

nujabesも自らフルートを練習していたらしいが、ビートメイカーはある時サンプリングでは物足りない心境になるのだろうか。

レーベルのBeats On Waxは、本作と江崎文武の1枚の計2作しか出てこない。謎である。

 


⑧Nala Sinephro「Endlessness」

12月に何度も聴き、直前でランクイン。

カリブ系ベルギー人のナラ・シネフロの2ndには、Ezra Collectiveのメンバーなど、UKジャズシーンの担い手が数多く参加している。

曲の構成は複雑で、曲の中で前に出る楽器が何度も入れ替わる。

過去のインタビューを読むと、楽譜がある曲もあれば、即興でレコーディングした曲もあるらしい。

過去作には1時間の瞑想の後で10分で書いた曲もあるとか。

ライブでどのように演奏するのか見てみたい。

 


⑨Sam Wilkes「iiyo iiyo iiyo」

一昨年のFrueの演奏をメインとしたSam Wilkesの企画盤。

元々トリオかカルテットでの出演を予定していたが、アクシデントにより5人編成となったらしい。

しかし、5人編成となったことで、これまで聴いたことのない厚みの音が投げかけられている。

録音と整音が良いためか、すぐ近くで演奏しているような音像が素晴らしい。

深い夜に独りで何度も何度も聴いていた。

タイトルのiiyo iiyo iiyoは、「溢れ出るほどの感謝に応えて使われる、自身への称賛をはねつける生意気な言い方」と理解されているようだ。そんな言葉だったの?

Descendingは必殺の名曲。Frue行ってみてぇー

 


⑩折坂悠太「心理」

3枚目の折坂悠太。

ジャケットには「平成」と同じく顔が描かれ、右眼は一重瞼、左眼は二重瞼とこれまた不思議なバランスになっている。

「トーチ」の間奏は、自身がフェイバリットに挙げていたRadioheadの影響が色濃い。

今年唐突にXで起こったRadiohead論争を折坂悠太はどのように見ていたのだろうか。

ふと見かけたインスタライブでは女性ファンからのコメントが溢れていた。

ファンの熱量からすると、もしかすると次の星野源になるのかもしれない。

今年よく聴いたアルバムズ 2023

日々は止めどなく過ぎていく。ので、何かに今を残しておかねば2度と振り返ることは叶わない。そう考え、ちょうど9年振りにブログを書くことにした。

本当は開高健のように新鮮、鋭利、芳満な文章を書きたいが、人には向き不向きがある。

自分に書けることとして、ちょうど年末なので今年よく聴いたアルバム10枚を並べることにしよう。

 

 

①Koichi Sugii「Japanese Jazz & Salon Music, 1936-1941, Vol. 1」

「ニッポン・スウィングタイム」に杉井幸一のことが載っていて、聴いてみたらどハマりした。
日本の民謡をJazzに仕上げるというアイデアはシンプルゆえに早い者勝ちだと思うが、この時代にして早くも決定版が生み出されてしまった。サロン・ミュージックというジャンルを教えてくれた一枚。

 

②Adi oasis「Bad bitch summer mix」

2023年夏に突如リリースされた謎のアルバム。いくら調べても何の情報も得られなかった。アレサ・フランクリン、グレース・ジョンソン、エリカ・バドゥから、今をときめくYazmin Lacey、Lady Wray、Szaらの楽曲がDJスタイルで繋がれた企画盤で、非常に耳心地が良い。何か知ってる人がいたら教えて下さい。

https://music.apple.com/jp/album/bad-bitch-summer-mix-dj-mix/1693901733

 

③服部良一「僕の音楽人生(コロムビア編)」

杉井幸一と同じく、「ニッポン・スウィングタイム」で知りよく聴いた。
ブルース、バンジョー、ブギウギなど様々なジャンルの音楽が含まれていて面白く、何といってもジャズが格別。
朝ドラでこの時代の音楽を聴けるのは嬉しい。

 

④Henri Salvador「Triple Best Of Henri Salvador」

友達に教えてもらい沢山聴いた。真っ白なシャツが良く似合う人だ。
フランス語なので全く分からず気が散らないのが良い。ただし、歌詞を見ても何も分からないのが少し寂しい。
Apple musicに日本語訳を同時表示する機能があれば良いのに…
3曲目の「Count Basie (Lil' Darlin')」には魔法がかかっている。

 

⑤高橋幸宏「Blue Moon Blue」

これまでは全く聴いていなかったが、訃報に接し聴いてみると非常に好みのライン。ファンになった。オシャレな逸話が多く、その佇まいからは強烈な美意識と審美眼を感じた。「美意識の高い人はそれゆえ日常生活を送るのが大変そう」と思うに至るきっかけとなった。
2曲目「Blue moon blue」はあまりに素晴らしく、それゆえ幸宏さんがもういない事実がリアリズムを伴って感じられ、あやうく涙が溢れそうになった。

 

⑥Adi Oasis「Lotus Glow」

宇多田ヒカルの「Badモード」を聴いていなければ聴けなかったジャンルだと思う。
2曲目「Get it Got it」から3曲目「Serena」の繋ぎがお気に入り。
2018年の「Adeline」と同じくジャケの背景色が綺麗で、Adi Oasis本人の魅力を引き出している。
ネオソウルにカテゴライズされるようだが、個人的にはベースラインのダブっぽさが印象に残っている。

 

⑦David Bowie「Hunky Dory」

デヴィッドボウイには何か奇抜なイメージを持っていたが、幸宏さんの生き様に触れることで、確固たる美意識を貫いたアーティストという印象に変化した。
静かな始まりから次第にボーカルを重ねていき、サビでは多くの楽器がかき鳴らされる曲構成は、一曲を物語として捉えているように感じられる。
特に1,2曲目の流れを聴きたくて再生ボタンに手が伸びた。

 

⑧坂本龍一「Sweet Revenge」

今年は酷い一年だったが、ミュージシャンの訃報が続いたことも気が滅入る一因である。
今年4月から過去作を幾つか聴いた中で、本作は一番のお気に入りになった。生前の記事には女性絡みのものが多い教授は、本作でも女性ボーカルとのコラボが多く、女性に対し何か特別な美を感じていたのかと考える。

 

⑨青葉市子「Ichiko Aoba with 12 Ensemble (Live at Milton Court)」

京都のfm放送の番組「flag radio」をよく聞いているが、青葉市子の回は音楽が沢山流れるので嬉しい。語り口も穏やかで、梅林太郎先生の選曲も毎回素晴らしくありがたい。折坂悠太と隔月で担当する水曜日のコンビが長く続くことを願う。
本作はジャケットのとおり、まるでどこか遠くで催されているコンサートの音が漏れ聞こえてくるよう。耳を澄ませたくなる音響バランスに仕上がっている。

 

⑩David Bowie「Heroes」

なんといってもエゴン・シーレを模したとされるジャケットが素晴らしい。
自分で真似して気づいたが、左手をだいぶ内側に向けないとあのような写り方にはならない。首の角度も難しく、非常に計算された一枚である。妻とともに真似したのは愉快な思い出となった。
アルバムは一曲目の「Beauty and the Beast」のゴキゲンなミステリアス具合が大好きで、一時期は毎日のように聴いていた。

平井堅の牙城

平井堅には苦い思い出がある。

中学のときに衝撃的な曲がオリコンチャートを賑わせた。
曲名はそう、Strawberry Sexである。
学校でその曲の話をする男子はニヤニヤし女子は盛り上がる。
「ポルノグラフィティ」以来、二隻目のスケベ黒船が我が中学校へ上陸したのであった。

小学校を卒業して中学生になると行動範囲が広がる。
以前は徒歩圏内で遊んでいた小学生が、バスに乗って街へ出る。
ある日の僕も友達とバスで5停留所先の街へ向かった。
その日は「カラオケ」という大人の遊び場にデビューする日だった。
歌う曲は決めていた。大人の遊び場にはこれしかない。Strawberry Sexである。

中学生特有の、一生懸命歌うのはダサく恥ずべきこととの思い込みにも負けず、僕は歌った。
しかし出ないのである。サビの高音が。 
あんなにおちゃらけた曲を歌う平井堅は、実はとても上手なシンガーだった。
平井堅の高すぎる牙城を前に、僕は涙目で「演奏中止」のボタンを押した。
友達も僕に気を使ってか「難しそうだったね」などと声をかけてくれる。
やめてくれ!いっそ笑い飛ばすか殺してくれ!

僕はイチゴのように顔を赤くしてうつむいていた。


歌手は歌が上手い。
そんな当たり前のことを初めて教えてくれたのは平井堅であり、Strawberry Sexであった。
この曲を聴くたびに苦い思い出が胸をチクリと刺すが、それはさておきとても良い曲だと思う。

 


STRAWBERRY SEX - YouTube

今週聴いた音楽ズ 第二回洋楽編 Mayer Hawthorne 「How Do You Do」

前回に引き続き第二回です。

もはや「今週」ではなくなってしまいましたが、細かい事は気にしません。今日はコレ!

 

ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ

ハウ・ドゥ・ユー・ドゥ

 

  遠足前夜に聴き込んで、なんなら遠足中も聴き続けたいアルバムです。スヌープ・ドッグがラップではなくボーカルとして参加しています。

 

坂本慎太郎との相互カバーによって私の中で話題沸騰のメイヤー・ホーソーン。以下、視聴リンクです。http://blogs.timeout.jp/ja/blog/2014/03/25/%E5%9D%82%E6%9C%AC%E6%85%8E%E5%A4%AA%E9%83%8E%E3%81%A8%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88/

 

 インディーズから出した1stに続く、メジャーデビュー作となる2nd。2011年の作品です。第一印象は「近頃の黒人がやらなくなった音楽」。私は現在のブラック・ミュージックを聴きません。シーンの移り変わりの結果、あまり好みではない時代が来てしまいました。

最近ではかつてのソウル・ミュージックが消えた気がします。特にモータウン系のスウィートソウル(甘茶ソウル?)はほとんどがR&Bに取って代わられ、クールを求める若者はHip Hopに流れてしまったような印象を受けます。ブラックミュージックのスウィートなところに惹かれる私は、密かにささやかにこの現状を憂いていました。「あれだけの遺産を放り出すの!?まだやれることあるでしょ!」的な憂いです。モータウンによって一世を風靡したソウルはもはや風前の灯火。金と快楽を匂わすR&Bと、尖ったHip Hopの全盛期地獄に私は生きていると思っていました。

 

本作はこの現状を打破しうる一枚だと、私は本気で信じています。それだけの説得力がこの一枚にはありました。音楽家の父を持ち、モータウンなどを聴きながら育ったメイヤー・ホーソーン。DJ ヘア・カット名義でHip Hop に傾倒したメイヤー・ホーソーン。彼が歌うモータウン直系の5、7、11などは、今の黒人がやらなくなった、ポップで甘ったるい最高のソウルでした。またおそらくポップスに属するであろうその他の楽曲群も過去の黄金時代のテイストを残している気がします。サックスやホルンの使い方、バックコーラスの頑張り方から感じました。

 

アルバム全体を通じてメロディーメイカーとしての才能が輝いています。サビではない何気ないフレーズのメロディーにも気が利いており、聴いていてニヤニヤしてしまいます。その中でも異質な1は、確かに坂本慎太郎との近さを感じさせました。ストリングスとベースのバランス、気怠いサビがもたらす高揚感は本曲も坂本慎太郎のカバーではないかと思わせるほど。グッド・メロディーを書くミュージシャンは少なからずいるものの、これだけ特殊に心地良い曲を書くミュージシャンは本当に少ないと思います。その点でもこの曲の持つ意味は大きいのでは。

 

ちなみに私のお気に入りフレーズは10。「You called me just to tell me you love me. And everything was alright.」お気楽で最高!

 

1. Get to know you


Get to know you - Mayer Hawthorne - YouTube

 

10 You called me


Mayer Hawthorne - You Called Me (NEW) - YouTube

 

いやあ、聴けば聴くほどに良いアルバムだなぁ。これまた名盤です。特にリアルタイムのアーティストであることが嬉しい!1stと3rdも聴いてみよっと!

 

以上、終わってしまったプレミアリーグに思いを馳せながら書いたブログでした。アーセナルは終盤に失速して結局いつもの4位となりましたが、来年こそは。

 

 

今週聴いた音楽ズ 第二回洋楽編 Tom Waits 「Closing Time」

 

私が最近書く文章には余白が求められない。100人が読むと100人が同じイメージを抱き、理解する。そのような文章が求められ、私も目指しているところがある。でも、それじゃあまりにつまんねーだろってなことで、たまには自由にブログを書こうと思う。

 

ではでは今週聴いた洋楽を気に入った順に、偏見まみれでレビューしていきます!

 

 

Closing Time

Closing Time

 

 

「酔いどれ詩人」トム・ウェイツ。酔いどれ詩人、こんなに素敵な職業は無いでしょう!俳優に転身する以前に発売された今作は、1973年のデビュー作。ちなみにトッド・ラングレンの2ndにジャケットが似ている。

Runt. The Ballad of

 

 

あまり期待せずに借りたが、とんでもなく良かった。それだけでなく早くも個人的に特別な1枚となった。

 数年前から孤独との向き合い方を考えていた。誰かと会って孤独を紛らわすことも大切だが、自分一人でとことん孤独と向き合うことも大切なのではないだろうか。音楽を聴きながらでも、映画を観ながらでも、釣竿を出しながらでも良い。その瞬間に一人であることを受け止めて突き詰めてみる。それは孤独から逃げ回るよりもよっぽど苦しく、為になるのではないか。そんな事をうっすら考えていたものの、私はそれを後回しにしていた。一人で音楽を聴いても、映画を観ても、ブログを書いても、何かから逃避しているような感覚をどこかで抱いていた。

 

春になった。周囲や自分の状況が変わった。いい加減に孤独と向き合おうと思った、そんな矢先に本作と出会った。聴くとトム・ウェイツの声は優しく、メロディーはどこか寂しい。ああ、きっとトム・ウェイツは孤独だ。そして孤独を受け止め、うまく付き合えているのだ。そんな印象を受けた。この音楽を一人で聴いていると、自らが完全に孤独であることをトム・ウェイツは教えてくれる。それも悪くないと語り掛けてくれる。その懐の深さが本作を特別にしていると思った。孤独に涙ぐみながら。私がソロ・シンガーに惹かれる理由は、きっと歌い手と聴き手の一対一の関係が好きなのだろう。

 

名曲が多すぎて好きな曲は挙げきれないが、特に 7「Rosie」と 11「Grapefruit Moon」が好きだ。7は InterFMで耳にしたから、11は大橋トリオのカバーアルバムに入っていたからかもしれない。もちろんそれを差し引いてもとても美しい2曲だと思う。名盤。

 


Tom Waits - Rosie (Closing Time) - YouTube

 


Tom Waits - Grapefruit Moon - YouTube 

 

 

以上、トム・ウェイツのレビューでした。レビューというよりほとんど私の感想に終始しましたが、全く悔いはありません!泣 

 

それでは今日はこの辺で、さようなら。

今週聴いた音楽ズ 邦楽編

 

洋楽編に引き続き、邦楽編です。

これからは好きな順番に並べていきます。

 

 

Fine

Fine

 

 今春の解散ライブ迄にはベストとTenしか聴いたことが無かったが、その後 1st, 3rd を聴いた。 本作は私にとって4枚目であり、またキリンジにとっても4枚目のアルバム。

 第一印象は、堅い。キリンジらしく隙を見せない作品である。軽快なテンポの曲を厳しい演奏で引き締めている。その堅さから1周目はあまり好みでなかったが、耳にメロディーが馴染む2周目以降は気がつけば好きになっていた。ちなみに、調べてみると2曲目「雨は毛布のように」にはコーラスでaikoが参加している事が分かった。へぇー!

キリンジを語るときによく言われる「お兄ちゃんと弟くんのどちらが好きか。」本作では泰行さんが4曲、高樹さんが7曲の作曲を担当している。シンプルな音楽が好きな私には、どちらかというと弟さんの楽曲の方があっているように感じる。そこも含めて本作は非常に気持ちよく聴けました。嗚呼、名盤!

  

 

「てん、」

「てん、」

 

  やっぱり好きなクラムボン。唯一聴きそびれていた本作は、個人的名盤「Imagination」に続く6th。全体的に1曲の時間が長くなったが、それにもかかわらず1つの音にかける拘りは強くなっている印象を受ける。音の引き算、拍の正確性にそれが表れていると思う。

クラムボンのどこが好きか。おそらく、バンドの変遷であろう。ポップでキャッチーな青山系の1stや2ndから始まったバンドサウンドは、4th辺りから音響系へとシフトした。ちょうど私が音響系を聴き始めた頃に出逢えたので、ポピュラリティを残した音響系は非常に聴きやすかった。

その後もクラムボンは面白い音を積極的に取り入れている。レコーディングに関して私は全く何の知識も持たないが、相当な拘りを持つスタジオミュージシャンだろう。(もちろんライブも素晴らしい!)

本作の歌詞カードを見ていると、ドラムの伊藤大助さんの楽器に“udo”と書いてあった。まさか野菜!?と思って調べると、アラブ音楽で用いられる弦楽器らしい。そういえば、circle '12 という野外フェスにソロで来ていた原田郁子さんがそんな楽器奏者と共演していた気がする。あやふやだけど。

面白そうな楽器を取り入れてみて音楽の幅を広げようとする姿勢にはとても共感できるし、それを作品として纏め上げる力量には恐れ入る。それでいていつまでも変わらない愛くるしさを持つたぁ、クラムボンっちゅうのは本当にスケールの大きなバンドですね。

 

 

とげまる

とげまる

 

 

 スピッツである。スピッツはベストと1stしか聴いたことが無かったが、まるで魔法がかかったようなメロディーが印象的で好きなバンドである。

ポップソングは3分半ばが丁度良いという話を聞いたことがある。それ以上は冗長になってしまうと。本作は4分未満の曲が多く、もう少し聴いていたい気になるが、その僅かな物足りなさがポップソングの最大の魅力だろう。私は「捨て曲が無い」という表現を褒め言葉には思えないが、確かにそんな言葉が似合う良いアルバムだと思う。

 

あさげ - selected re-mix & re-arrangement works / 1

あさげ - selected re-mix & re-arrangement works / 1

 

  一昨年に急逝したharakamiさん。耳触りの良い独特な音が組み合わさり、まるで音が湧き出るような印象を受ける。Remixアルバムである本作は、なにより選曲が素晴らしい。素晴らしい原曲たちは完全にharakamiサウンドになり、新たな聴き応えを提供してくれる。エレクトロサウンドには感情の入り込む余地があまり無いため苦手だが、本作ほど歌があると聴きやすくて嬉しい。一時期感情を入れ込みまくった4「ばらの花」も、熱量こそ変わったが根本的な部分は変わらず、素直に好きだ。

ASA-CHANG&巡礼の音源を初めて手に入れた。彼らの「花」の歌部分を最初に聴いたとき、確かに気味の悪さがあった。おーこわ。しかし、印象に捉われずにしっかり聴くと、u-zhaanが奏でるタブラのリズムであったり、ただただ美しいストリングスが強烈に聴こえてきた。気味の悪さだけで敬遠するのは余りに勿体無い作品は音楽に限らず数多くあるが、彼らの音楽もその一種だろう。

そのような音楽の良さを丁寧に汲み取った本作は、あれ、聴けば聴くほど好きになっていくぞ…

 

  

小さな生き物

小さな生き物

 

  

またもスピッツである。今年の9月発売の新譜らしい。

しかし、変わらない。音も展開も、私の貧弱な耳では前作や以前からの変化を感じ取れない。前述のクラムボンとは正反対である。

変わることが良いとは言わない。ころころスタンスを変えるよりも、変わらないことの方がずっと難しいし、苦しいだろう。しかしそれ程まで音楽性を変えない理由はあるのだろうか。いつまでも変わらないことは、音楽を追求することを放棄した末の惰性とも受け取れるのではないか。

そんなことを考えていたが何度か本作を聴いて考えが変わった。スピッツは楽曲はポップであるがロックバンドなのだ。ロックバンドが変わらない事は意地かもしれないし、信念かもしれないし、私には分からない。ただ男が走ると決めた以上、周囲に出来ることはその背中を見守る事だけなのです。いやマジで。

  

 

以上、邦楽編でした。クラブW杯でゴールを決め、レッドカードで去って行くロナウジーニョを尻目に書いた、邦楽編でした。