masalabayashi's diary

好きな言葉は「名盤」です

平井堅の牙城

平井堅には苦い思い出がある。

中学のときに衝撃的な曲がオリコンチャートを賑わせた。
曲名はそう、Strawberry Sexである。
学校でその曲の話をする男子はニヤニヤし女子は盛り上がる。
ポルノグラフィティ」以来、二隻目のスケベ黒船が我が中学校へ上陸したのであった。

小学校を卒業して中学生になると行動範囲が広がる。
以前は徒歩圏内で遊んでいた小学生が、バスに乗って街へ出る。
ある日の僕も友達とバスで5停留所先の街へ向かった。
その日は「カラオケ」という大人の遊び場にデビューする日だった。
歌う曲は決めていた。大人の遊び場にはこれしかない。Strawberry Sexである。

中学生特有の、一生懸命歌うのはダサく恥ずべきこととの思い込みにも負けず、僕は歌った。
しかし出ないのである。サビの高音が。 
あんなにおちゃらけた曲を歌う平井堅は、実はとても上手なシンガーだった。
平井堅の高すぎる牙城を前に、僕は涙目で「演奏中止」のボタンを押した。
友達も僕に気を使ってか「難しそうだったね」などと声をかけてくれる。
やめてくれ!いっそ笑い飛ばすか殺してくれ!

僕はイチゴのように顔を赤くしてうつむいていた。


歌手は歌が上手い。
そんな当たり前のことを初めて教えてくれたのは平井堅であり、Strawberry Sexであった。
この曲を聴くたびに苦い思い出が胸をチクリと刺すが、それはさておきとても良い曲だと思う。

 


STRAWBERRY SEX - YouTube