masalabayashi's diary

好きな言葉は「名盤」です

今年よく聴いたアルバムズ 2023

日々は止めどなく過ぎていく。ので、何かに今を残しておかねば2度と振り返ることは叶わない。そう考え、ちょうど9年振りにブログを書くことにした。

本当は開高健のように新鮮、鋭利、芳満な文章を書きたいが、人には向き不向きがある。

自分に書けることとして、ちょうど年末なので今年よく聴いたアルバム10枚を並べることにしよう。

 

 

Koichi Sugii「Japanese Jazz & Salon Music, 1936-1941, Vol. 1」

「ニッポン・スウィングタイム」に杉井幸一のことが載っていて、聴いてみたらどハマりした。
日本の民謡をJazzに仕上げるというアイデアはシンプルゆえに早い者勝ちだと思うが、この時代にして早くも決定版が生み出されてしまった。サロン・ミュージックというジャンルを教えてくれた一枚。

 

②Adi oasis「Bad bitch summer mix」

2023年夏に突如リリースされた謎のアルバム。いくら調べても何の情報も得られなかった。アレサ・フランクリン、グレース・ジョンソン、エリカ・バドゥから、今をときめくYazmin Lacey、Lady Wray、Szaらの楽曲がDJスタイルで繋がれた企画盤で、非常に耳心地が良い。何か知ってる人がいたら教えて下さい。

https://music.apple.com/jp/album/bad-bitch-summer-mix-dj-mix/1693901733

 

服部良一「僕の音楽人生(コロムビア編)」

杉井幸一と同じく、「ニッポン・スウィングタイム」で知りよく聴いた。
ブルース、バンジョー、ブギウギなど様々なジャンルの音楽が含まれていて面白く、何といってもジャズが格別。
朝ドラでこの時代の音楽を聴けるのは嬉しい。

 

④Henri Salvador「Triple Best Of Henri Salvador」

友達に教えてもらい沢山聴いた。真っ白なシャツが良く似合う人だ。
フランス語なので全く分からず気が散らないのが良い。ただし、歌詞を見ても何も分からないのが少し寂しい。
Apple musicに日本語訳を同時表示する機能があれば良いのに…
3曲目の「Count Basie (Lil' Darlin')」には魔法がかかっている。

 

高橋幸宏「Blue Moon Blue」

これまでは全く聴いていなかったが、訃報に接し聴いてみると非常に好みのライン。ファンになった。オシャレな逸話が多く、その佇まいからは強烈な美意識と審美眼を感じた。「美意識の高い人はそれゆえ日常生活を送るのが大変そう」と思うに至るきっかけとなった。
2曲目「Blue moon blue」はあまりに素晴らしく、それゆえ幸宏さんがもういない事実がリアリズムを伴って感じられ、あやうく涙が溢れそうになった。

 

⑥Adi Oasis「Lotus Glow」

宇多田ヒカルの「Badモード」を聴いていなければ聴けなかったジャンルだと思う。
2曲目「Get it Got it」から3曲目「Serena」の繋ぎがお気に入り。
2018年の「Adeline」と同じくジャケの背景色が綺麗で、Adi Oasis本人の魅力を引き出している。
ネオソウルにカテゴライズされるようだが、個人的にはベースラインのダブっぽさが印象に残っている。

 

David Bowie「Hunky Dory」

デヴィッドボウイには何か奇抜なイメージを持っていたが、幸宏さんの生き様に触れることで、確固たる美意識を貫いたアーティストという印象に変化した。
静かな始まりから次第にボーカルを重ねていき、サビでは多くの楽器がかき鳴らされる曲構成は、一曲を物語として捉えているように感じられる。
特に1,2曲目の流れを聴きたくて再生ボタンに手が伸びた。

 

坂本龍一「Sweet Revenge」

今年は酷い一年だったが、ミュージシャンの訃報が続いたことも気が滅入る一因である。
今年4月から過去作を幾つか聴いた中で、本作は一番のお気に入りになった。生前の記事には女性絡みのものが多い教授は、本作でも女性ボーカルとのコラボが多く、女性に対し何か特別な美を感じていたのかと考える。

 

⑨青葉市子「Ichiko Aoba with 12 Ensemble (Live at Milton Court)」

京都のfm放送の番組「flag radio」をよく聞いているが、青葉市子の回は音楽が沢山流れるので嬉しい。語り口も穏やかで、梅林太郎先生の選曲も毎回素晴らしくありがたい。折坂悠太と隔月で担当する水曜日のコンビが長く続くことを願う。
本作はジャケットのとおり、まるでどこか遠くで催されているコンサートの音が漏れ聞こえてくるよう。耳を澄ませたくなる音響バランスに仕上がっている。

 

David BowieHeroes

なんといってもエゴン・シーレを模したとされるジャケットが素晴らしい。
自分で真似して気づいたが、左手をだいぶ内側に向けないとあのような写り方にはならない。首の角度も難しく、非常に計算された一枚である。妻とともに真似したのは愉快な思い出となった。
アルバムは一曲目の「Beauty and the Beast」のゴキゲンなミステリアス具合が大好きで、一時期は毎日のように聴いていた。